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離婚を考えてるあなたに

ライフ弁護士 横井貞夫

離婚を考えてるあなたに

弁護士に離婚を相談するとき,弁護士が一番確認したいことは,第三者からみても,離婚した方がいいほどの「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかです。今回は女性の視点で書かせていただきます。

弁護士が「婚姻を継続しがたい重大な事由」があり離婚した方がいいと思ったとき,次に,お尋ねするのは,相談者が離婚後の生活の社会的,経済的,精神的過酷さの程度です。

相談者は,離婚によって,相手からどれくらいの金銭的給付を得られるか,ということですが,経済的な面でも,社会の経済的中間層がほとんどなくなり,正規雇用・非正規雇用を問わず,養育費の支払いを期待できない貧困層が激増しています。相談者の今の生活状態から,確実に経済的水準はさがります。現在において,離婚に伴う財産給付をあてに離婚後の生活することが,困難になっています。

離婚後働き始めるという方であれば,離婚に伴う金銭的給付額では,2年も生活を維持していくことは困難です。 保育園を造設し,保育園に子どもを預けて女性も働けという社会は,子連れの離婚者にとって,過酷な社会です。幼子を抱えて離婚すれば,生活保護という福祉的救済制度はありますが,幼子がが成長すれば,福祉事務所で働くことを求められ,非正規雇用しか選択肢のない経済的に過酷な状況に追い込まれます。

離婚により,社会的に孤独にならないような人間関係がある人はともかく,独り身になって孤立した状況に追い込まれたときの精神的な孤独感の過酷さは,誰も救済してくれません。

離婚歴があることで,社会的な偏見は減り,肩身の狭い思いもせず,再婚を妨げる大きな理由にもならなくなったことは,幸いですが,子連れ離婚者の置かれた精神的・社会的過酷さは改善されていません。離婚によるシングルの身の精神的不安から,DVをするような未熟な異性を頼ったり,未熟な同居相手に子どもが虐待される例は多いです。

したがって,離婚を考えるあなたにとって,離婚後の生活の社会的,経済的,精神的過酷さと比較しても,現在の「婚姻が継続しがたい重大な事由」があるか,ということが離婚手続をすすめる最初の関門です。

あなたには,弁護士に相談する前に,将来そのような過酷な生活が待っているとしても,今の「婚姻を継続しがたい重大な事由」がありますか。 それがあれば,弁護士も全力であなたの離婚を応援します。 離婚を考えている人は,結婚生活が嫌だという今の気持ちだけでなく,離婚後の精神的・社会的・経済的な生活の過酷さを耐え抜ける覚悟があるか冷静に考えていく必要があります。

法律では,離婚するための要件が定められています。協議離婚手続は,協議離婚届出書を役所に提出すれば,離婚が成立しますので,離婚成立まえに裁判所が離婚に関与することはありません。

あなたが離婚を希望しても,婚姻当事者の片方が離婚に反対し,婚姻当事者の間で,離婚の意思の合致がなければ,法律的な手続(裁判所が関与する手続)でしか,離婚ができません。

法律的な手続には,調停離婚,審判離婚,裁判離婚です。裁判離婚は,当事者の一方が反対でも,離婚を認める制度なので,法律は,①不貞行為②悪意の遺棄③3年以上生死不明④強度の精神病⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由という離婚原因を定めています。①ないし④の事由があるある場合でも,裁判所は「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは」離婚請求を認めないことができます。

「婚姻を継続しがたい重大な事由」は,調停離婚のときでも必要なものです。これがないと,調停員を離婚に協力させることはできません。離婚後の生活に比べて,現在の婚姻生活が「継続しがたい重大な事由」があるかです。

離婚原因がある場合でも,なぜ,片方が反対する離婚に裁判所が関与するのかといえば,離婚による夫婦間の子の不利益,及び現在の婚姻により守られている離婚反対当事者の側に過酷な不利益を与えないためです。

離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷を不利益を蒙るときは,離婚の請求を拒めるとするのが,現在の法律,裁判所の考えです。但し,離婚による苦痛が通常の経済的過酷を蒙るの過ぎない場合,離婚に伴う財産給付で救済を図ろうと裁判所はしますが,貧困層が増大した現在,離婚に伴う財産給付での救済は期待できません。弁護士に相談して,一番がっかりさせられるのはその点です。。

そのため,弁護士が,離婚に反対な当事者から相談をうければ,離婚後の依頼者に,精神的・社会的・経済的にどの程度の不利益を蒙る可能性があり,その不利益の程度が,離婚に伴う財産給付で回避できる程度のものか,ということを依頼者との話し合いで検討していきます。

離婚に伴う年金分割や熟年離婚が話題にになった当時は,社会の経済的中間層が存在していました。その階層に属している人たちは,離婚しても,養育費の請求に困らない,財産分与も1/2があたりまえという,社会的,経済的には恵まれた時代でした。

現在は,専業主婦をしてきた人の雇用の機会は著しく限られ,離婚に伴う財産的給付も離婚後の生活を保障してくれるものではありません。離婚後の生活は,明らかに離婚前の生活水準に比べ下がります。

そんな社会にあっても ,離婚後の将来の生活に比べても,今の婚姻生活の「継続しがたい重大な事由」とは何でしょうか考えてみてください。

その一、今の婚姻生活を継続しがたい事由を紙に書き出してみてください。
その二、次に離婚後の生活の計画を実践する条件を書き出してみてください。

その二つを見比べて考えてください。それでも離婚を決意できるなら,弁護士に離婚相談をしましょう。